世界的不況により日本の美術界はかつて経験がないほどのダメージを受けているようです。本来なら自分の画廊で扱っている作家の相場を維持するように支えていかなくてはいけない画商までが交換会(画商間で行われるオークション)で少しでも安く仕入れようと値を下げ、デパートは他店よりも少しでも安くお客様に販売しようと値引きする。こうしてますます泥沼にはまっています。私の場合は、ほとんどの作品がコレクターの手元にあってめったに交換会等に出品されませんし、たとえ作品が出てきてもお付き合いをさせていただいている画商さんがそれなりの値段(画料よりも高ければOK)で落としてくれていますので相場が崩れているようなことはないのですが、多くの作家の作品が値崩れを起こしてしまっているのが現状です。大きな原因は日本の美術界は日本と言うローカルな市場だけで作られてきたからです。この世界的な不況の中でも先日、ロンドンで開かれたサザビーズのオークションでアルベルト・ジャコメッティの「歩く人」が94億円で落札されました。他のルノアールなど印象派の作品も数十億の値が付いています。世界の相場は日本でバブルが崩壊した後でも少しも下がっていません。あわてて世界的作家の作品を日本の相場で手放してしまった方は大きな損をしたと言えるでしょう。アメリカ相場が作り上げた現代アートはアメリカの経済崩壊と共に下火になってきましたが、これからは中国・インド・ロシアなどの国が文化レベルを上げるために西欧の国際的知名度の高い作家の作品を収集していくでしょうからますます世界の美術市場は華やかになってくると思います。日本は音楽家や建築・ファッション等のデザイナーなど世界に名を馳せた人は数多くいますが日本画壇の団体依存の保守的な思想と日本国内で頑なに守ってきた相場により日本から世界に認められた作家は一人もいません。アメリカの美術相場がアメリカで見つけた日本の作家で相場に載った作家は数人いますが私は日本画壇の作家のレベルは彼らよりずっと上だと確信しています。このままですとサザビーズ等世界レベルのオークションが日本に上陸し日本画壇を日本の片隅に追いやってしまうことは必定です。一日も早く世界に通用する作家を選び画壇をはじめ日本政府が後ろ盾をして一人でも世界の作家を作り出すことによって日本画壇全体をメジャーに引き寄せることそれが、今私たちが後に続く若い人たちに残す大事な仕事だと思います。このたびギャラリー白石が私を含め12名の作家を選びロシアの美術館で展覧会を開催し西欧への扉を叩こうと提案してきました。一個人の画廊で何処まで目的を果たせるかは分かりませんが画廊オーナーの意気込みと現代を代表する評論家千足伸行・本江邦夫両先生の応援に期待して参加させていただきます。経済大国日本はもう昔の話です。これからは文化大国日本と言われるよう政府・国民が一体となって世界にアピールしていく中、美術界も出遅れることがないように頑張っていこうと思います。美術ファンの皆様の御支援よろしくお願いいたします。
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